旅行養生(論文の要点)
佳木斯大学基礎医学院 張桂芳教授
翻訳 監修 竹内修空
旅行養生の概念と目的
名山、大きな川、峡谷、湖、原始林を遊覧し、宮殿を鑑賞することは、知識を増進し、心を洗い清め、性質を陶冶し、養生保健になります。
旅行養生は娯楽の中に運動の含まれた、一種の総合的養生手段です。
旅行養生の基本内容
一、地球は泣いています(環境保護の重要性)
二、人類は害を受けています(大自然の報復)
三、医学の方式(形)が新しく変わってきています(環境保護医学の出現)
四、旅行養生の重要経路:
森林旅行は養生にとって最も良い選択です。
大自然の芳香と養生
大自然が名人たちを啓発する
大自然が人類の医薬学に大作を与えた
五、旅行中の音楽、体育、美術養生
六、旅行中の体内時計の養生
七、旅行中の飲食の養生
八、旅行中の病気予防と治療
九、旅行中の一?二?三?四 養生法
一、 地球は泣いています(環境保護の重要性)
1.大気汚染……生命要素の損害
2.水源汚染……生命の源泉の枯渇
3.食物汚染……農薬による緩慢(速度がゆっくりした)中毒
4.土壌汚染……人類の母なる大地の叫び
5.森林損害……洪水、ひでりの災難の出現
6.精神汚染……健康を脅かす大敵
二、 人類は害を受けています(大自然の報復)
1.各種伝染病の猛増……この20年間で30種類余りの伝染病が出現した
2.心臓血管疾病の猛増……心臓血管の病気は人類にとって1番の殺し屋である
3.腫瘍の死亡率の猛増……癌の死亡者数が660万人以上になる
4.糖尿病の人数が増加中……後遺症、死に致る合併症が頻繁に出現する
5.エイズの蔓延……エイズによる死亡者が580万人以上になる
6.第三種人が増加中(自由人)……病気であるようなないような第三種人状態の人が全地球の50%を占めている
三、 医学の方式が新しく変わってきています(環境医学)
1.環境医学の内容:
環境汚染に対する人類の健康の危害と対策の研究。予防医学に属する。
これは20世紀、1970年代から発展してきた科学のせとぎわの一門です。
2.環境医学の自然観:
“天地生人”巨大な系統の環境医学は、天(宇宙)、地(地球)、生(生
物界)、人(人類)が交叉しています。天(宇宙)、地(地球)、生(生
物界)の自然界の統一性と自然界の協調性を研究する。これがつまり生態の自然観です。
3.生態系統の構成……四者が一体となる自然界
生態系統は動物、植物、微生物及び非生物系統(無機物、物理環境)、あるいは天、地、生、人を含みます。それらはまた生産者(植物)、消費者(動物)、と分解者(微生物)の三者の動態バランスです。
天(宇宙)と地(地球)は自分とともに生きている。万物は自分とともに動いているという自然生態観です。
天に従えば幸運が多く、地に従えばうまく事がはこび手間が省ける。
人に従えば八方の利を得、自然に従えば体が健康になり、気持ちがやわらぐ。
4.環境医学と“天人合一”……人は宇宙の縮図
荘子:“天即ち人”、人即ち天。
老子:“道可道、非常道”道理のかなった道、そうでない道。人も天も
源は同じ道である。自然を保護し、やさしく自然と抱き合うのが、
養生の上での重要な経路です。
四、 旅行は養生の重要な経路です
(一)森林旅行は養生において最も良い選択です。“緑のそばにいる者は、健康である”
1.小興安嶺の原始林は紅松の故郷です。白樺のゆりかご“林の都”は模範労働者馬永順さんの故郷です。
2.森林の酸素濃度は都市より何倍も高い“天然酸素”(YOU HE)
3.森林には病気を及ぼす微生物が都市の 1/40 ~ 1/60 です。
4.森林には大量のマイナスイオン(長寿の素)があり、空気を浄化し、森林浴ができます。
5.森林はすがすがしい香りのテルぺノイド(大気のビタミン)が分泌されていて、殺菌、消炎、利尿作用があります。天然酸素のポプリのようで、香薫保健になります。
6.オゾンO3 → O2 + O ……O2を合成する以外に強力な酸化能力があり、いやな臭いを分解する作用と殺菌作用があります。とりわけ興安嶺の秋景色の香気が人を襲います。
7.世界旅行組織(WTO)は、森林医院を設けています。
(二)大自然の芳香と養生
一輪一輪の花は薬になります。
春:レンギョウが春の楽曲を奏でる。お茶のかわりに飲むと尿路感染を治療します。
夏:蓮の花は汚泥の中でも染まらずに咲く。心霊を浄化し、心がこだわりなく広々とする。
秋:菊の花は重陽節の頃盛んです。菊は寒さに強く冷えと風邪の治療になります。
冬:梅の花は、花の中でも1番かおりが良く、いらいらと、緊張をほぐします。
(三)大自然が名人たちを啓発する
昔:旅行家で歴史学者の司馬遷は、恥を忍んで重責を担い“史記”を完成しました。大詩人の李白、杜甫、陸游などは、山に遊び、水とたわむれ、各地を観光し風景を見てまわり、詩を作り、絵を描きました。彼らの旅行記はさまざまな姿、形、様子をいろとりどりに描いた絵巻物のようです。
今:牛飼い出身の画家、斉白石は、大草原、魚、海老を一生涯愛しました。
海老……彼が描いた海老は、いまにも絵から躍び出しそうな感じがします。
大画家の張大千は、万里もある長江(揚子江)の景色を長さ20メートルの『長江万里図』として描きあげました。
中國:航海家の鄭和は、7回西洋に行きました。全航程10万公里(10万キロ)の『鄭和航海図』を書きました。コロンブスがアメリカ大陸を発見する半世紀も前のことです。
戦國時代にでてきた“宇宙は無限である”という学説は、戦國時代天文学者たちが、星を観測しながら、つねづね夜半まで眠らず に騒がしく話した末に出した“宇宙では時間と空間において、始 めもなければ終わりもない”のではないかという推論です。残念 ながらその学説は、中國では重視されませんでしたが、西洋の國々 を啓発しました。
外國:コペルニクスの“地動説”は長い間信じられてきた“天動説”を打ち破りました。コペルニクスとガリレオが命と引き換えで得た“地動説”も、実際に観察した資料を計算して得たものです。
四、大自然が人類の医薬学に大作を与えた……『本草網目』
李時珍は偉大な医薬学者の一人であると同時に、他にぬきんでた旅行家でありました。彼は30年にわたり、山に登って薬草を採り、ついに190万字にものぼる『本草網目』を書きあげました。収蔵された薬物は1892種、挿絵は1000枚以上あり、國内では30回以上再版されています。すでにフランス語、ドイツ語、英語、ロシア語、ラテン語に翻訳されています。この本の中で、李時珍は、金丹(昔、道志が金属や石の類から煉製したといわれる秘薬)を服用すれば不老長寿になるというのは誤った論説と否定しています。しかし李時珍は、16世紀の封建社会に生きた人なので、まるで役にたたない内容もあります。
五、 旅行中の音楽、体育、美術の養生
(一)音楽養生
1.旅行中、宿泊地で高らかに歌ったり、鼻歌を歌ったり、詩吟をすることができます。
2.音楽の心理作用:疲労を調節し、リラックスします。
3.音楽の物理作用:音波は各種機能を調節します。
4.五音は五行に通じ、五臓をつかさどり五志を変化させる。
五音…… 角 徴 宮 商 羽
五臓…… 肝 心 脾 肺 腎
五行…… 木 火 土 金 水
五志…… 怒 喜 思 悲 恐
五季…… 春 夏 長夏 秋 冬
(二)体育養生
1.旅行に適した簡単にできる体育養生:逆体操、手指功、按摩。
2.逆体操:目を閉じて逆方向に思考する。舌先を上あごに付け話はしない。 順逆式腹式呼吸、足を組んで坐る(散坐、単趺座、双趺座)。 後ろ向きにゆっくり歩く。 水平運動。 逆立ち。
3.手指功:左四指功、五指功、合十拍手。
4.按摩:自ら按摩する。按摩してもらう。どちらも体をくつろがせ、経絡を通し、血行を良くする。
(三)書法養生
1.旅行中、即興で書をかいたり、絵を描くと、一種の美と健康を享受することができます。
2.長期旅行の時には、文房四宝(筆、墨、紙、すずり)を持って行きます。
3.書法の前に必ず調神をする:楷書は煩悩を取り除き、隷書は静かに落ち着く。行書、草書はわきあがる感情を表現します。
4.絵画に夢中になって心がうばわれると、にわかに雑念が消えます。人の心や目を楽しませ喜ばせてくれます。
六、 旅行中の体内時計の養生
(一)何を体内時計というのでしょうか?生物の生命活動の周期性リズムのことです。
(二)十二時辰養生:養生は朝、昼、晩の3つを重視します。
子午流注歌:
肺寅大卯胃辰宮 肺は寅の刻、太陽は卯、胃は辰で宮
脾巳心午小未中 脾は巳、心は午、小腸は未で中
申膀酉腎心包戌 申は膀胱、酉は腎、心包が戌で
亥焦子胆丑肝通 亥は三焦、子は胆、丑の刻は肝に気が通る
(三)四季の旅行養生:春は遊覧、夏は遊泳、秋は月見、冬は雪景色を見る。
七、 旅行中の飲食の養生
(一)栄養成分の最良の源;
(二)林海の珍品と森林野菜:根類、茎類、葉類、花類、果実類、きのこ類。
(三)旅行中に食べてはいけない野菜:生のトマト、カリフラワー、木くらげ、藍色ののり、古くなった生姜、よく煮ていないインゲン、よくつかってない白菜……。
(四)旅行中の飲食?三低三高:低脂肪、低糖、低塩;高繊維、高蛋白、高ビタミン
(五)旅行中の料理法:あんかけ、揚げ物、炒め物を控えて、蒸す、煮る、焼くの料理を多くする。
(六)旅行中の飲食の三原則:腹八分目、動物性食品と野菜のバランスを取る。飲酒は適度にする。
八、旅行中の病気予防と治療
1.移動病:車酔い、船酔い、飛行機酔い。
防止方法:気持ちを楽しく、節度の飲食、起床、就寝を規則正しく、座席はまん中あたりに坐る。進行方向と同じ方向に向いて坐り、視線を固定する。
予防治療薬:ジメンヒドリナート(暈海宁)、ジアゼパム、生姜。
2.気候風土不適合:食欲不振、皮膚のかゆみは、乾燥酵母錠(イースト)、
クロルフェミラミンを服用する。
3.不眠:夕食にお酒を控える。寝る前にお茶を飲まない。温水欲をする。
あくびをする。安眠枕で寝る。旅行中、夫婦別々に寝る。かかとの安眠穴を刺激する。適度に睡眠薬を飲む。
4.卒倒と暑気あたり:横に寝かせて頭を低く、足を高くし、冷湿布する。
冷たい砂糖水を飲ませる。
5.溺水:口と鼻の異物を取り除き、人工呼吸をする。
6.森林脳炎(ダニによって伝染する脳炎、春夏型脳炎):森林旅行では5~7月の間はダニにかまれないようにする。あるいはワクチンの予防注射をする。いったん感染すると10~14日の潜伏期間の後に脳炎症状が現れます。
7.旅行者の下痢:籃氏賈第鞭毛虫に感染するので旅行中は生魚、生海老、
カニを食べるのはよくない。
8.長期旅行症候群:肺動脈塞栓症(血栓)
九、旅行中の一 二 三 四 養生法
1.天人合一:宇宙の万物の統一性を理解し、人は宇宙と高度に一致しつづけなければならないことを知る。
2.心身一体:命を大切に、健康とは身、心、社会の三方面が完全無欠な状態をいう。
3.日頃から合谷、内関と足の三里を按摩する。
4.四肢を動かす(両手、両足)。下肢を動かすと経絡を通り、気血が活き活きとなる。手を動かすと大脳の働きが活発になる。
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